0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は嫁と子供を連れて帰省した。
色々と面倒な事もあるが、やはり田舎はいいなと思って休暇を満喫した。
あっという間に楽しい時は過ぎてしまうのだ。
「さて、そろそろ行くよ。またお盆に帰るから」
両親にそう言って、実家を出て駅へ向かうタクシーに乗り込んだ。
俺と家族を乗せたタクシーはしばらく行くと信号待ちをした。
『どんっ! 』
強い衝撃が体を襲う。
振り返ると車がぶつかったらしい。追突されたのだ。
「ああ、なんてこった!」
俺は車を降りると驚いた!
「なんだ! 君が運転したのか?」
追突してきた車を運転していたのは、どうみても中学生くらいの少女だった。
「ご、ごめんなさい。すみませんっ」
少女が何度も何度も頭を下げる。無免許で車を運転するような、いわゆる不良の娘には見えなかった。
「君ではどうしようもないだろう。御両親と連絡取りなさい」
そうこうするうちに警察が来た。
「で、あなた方がタクシー、追突された車に乗っていたのですね?」
「はい。よりによって無免許の車にぶつけられるとは思いませんでしたよ」
俺はぶつけられた衝撃で痛めた首を擦りながら警官に言った。
「はあ。災難でしたな。
ですが、あの娘は免許を持っておりましたよ。
御宅のお怪我なども保険がきくようです。
まあ、不幸中の幸いですかな……」
「えっ!? だって、あの娘、中学生でしょ?」
驚く俺の背後からタクシーの運転手が言った。
「東北州では十二歳から免許を取れるようになったんですよ。
若者が他州に逃げられないようにする政策の一つだそうで……」
間違っている! この道州制は間違っている!
これでは地方創生・地方分権ではなくて、日本がばらばらだ!
~地方創生? 完~
最初のコメントを投稿しよう!