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少年は公園内を歩きながら項垂れる。
原因は明確だ。
運命の人が分かる、と評判の占い師に会ってきたのだが、5千円もしたくせに酷い占いだったからである。
「わっ」と少年は、突然鳴り響いた、鳥が羽ばたく音に驚いて、振り向いた。
鳩だ。その近くには犬を連れた少女がいる。
飛ぶ姿が好きなのか、その少女は嬉しそうに鳩が飛び去る度に、その姿を目で追っていた。
そして、少年は占い師の言葉を思い出す。
鳩ですよ、鳩。
そのふざけた占い結果に、そういうこと?と今は胸を高鳴らされる。
もしも。
もしもだ。
彼女がこちらを振り向いたのなら。
振り向いて自分を見たのなら。
声を掛けよう。
少年はそう決めた。
振り向け。
振り向け。
「振り向け」
つい口に出てしまったが、少女には届かない。
が、その声に反応したかのように、少女の目の前にいる一羽の鳩が、少年目掛けて羽ばたいた。
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