第1章

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冴えない女と一晩過ごしたって噂にならない。最悪、妄想ってことにすればいい。 そう考えれば辻褄が合う。 その通りなのに、何故か涙が出て来てしまう。結局のところ、私も純粋に彼へと想いを寄せる一人だったということだ。 「ど、どうしましたか!?」 突然のことに彼が慌てている。そんな所なんて初めて見た。 「だ、って、わ、たし軽、いって」 思っているのでしょ?と言いたかったのに声は彼の顔を見て、止まった。 彼は笑っていた。卑しい笑いではなく、優しく包むような笑い。 .
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