DNA

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彼の動きが止まった。 視線の先は検査薬だ。見つかってしまった。 「これ……。」 覚悟を決めて彼に打ち明けた。妊娠の可能性がある。だから今日の泡盛も本当は飲んでいない。結果が分かってから言いたかった。そう正直に話した。 彼の表情はこわばっている。 ゆっくりとした動作で検査薬を拾い上げると私に差し出した。 「今すぐ話さなければならないことがある。」 深刻な顔で私にタオルを掛け、自分も身体を拭きはじめた。 無言のまま二人とも服を着るとリビングへ戻った。 彼の話とは……怖い。もしかして妊娠を喜んでくれないということだろうか。 いや、でも私は彼の子でないと困る。自分の顔と彼の顔の相性も考えて決めたのだ。
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