DNA

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───────── 内緒で避妊具に穴を開け続けた。数か月経って待ちに待った日が訪れた。 妊娠の可能性が出た。仕事帰りに検査薬を買って帰宅した。 その日、彼は同僚の旅行の土産だと沖縄の泡盛を持って帰ってきた。 「今晩、一緒に飲もう。」 琉球グラスのコップも一緒にもらっていて、彼は自ら洗い食卓に出した。 妊娠の確信が出来てから打ち明けようと思った。しかし、思った以上に早く言わなければならない状況が訪れてしまった。 「うん。ありがとう。 でも、今日はちょっと止めておこうかな。」 やんわりと泡盛を断る。 「どうして? お酒は好きだよね。 もしかして体調でも悪い?」 彼は妊娠の可能性など露ほども考えていない。避妊具の穴を知らないのだから仕方がない。
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