『明け方の眠り姫』

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「夏希さん大丈夫?」 「ああ……、うん。もう一人で大丈夫だから」 「ホントに? でもお化粧全部崩れちゃってるよ?」 「うっ……」 「帰る? それとも化粧直しに行く?」  あんなに泣いたんだもの。たぶん私の顔は、ちょっとやそっとじゃ修復不可能なはず。 「……帰りたい」  そう小さな声で答えると、要くんは私に背を向けきょろきょろと辺りを見渡した。 「要くん、何してるの?」 「目立たないように僕が外に連れ出してあげる。夏希さん、僕の背中に隠れてなよ」 「……ありがと」  私は要くんのお言葉に甘えて、彼の背を盾にパーティの会場から抜け出した。
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