『明け方の眠り姫』

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 毎日のように顔を合わせていた要くんが、突然姿を見せなくなった。  きっと仕事が忙しいんだろう。そう思って、私も最初の内は大して気にも留めていなかった。  それに、『flower parc』に来ればそのうち会えるだろうと高を括ってた。でも要くんは、私の部屋にはもちろん、この店にもやって来ることはなかった。  私の方から連絡を取ってみようかとも思ったけど、私は彼の携帯の番号もメルアドも住んでいる場所すら知らなかった。実家が酒屋だとは聞いていたけど、お店の名前も聞いていない。頼みの綱の履歴書は、バイト期間終了と同時に処分していた。  そして何より、私には彼に連絡を取る理由がない。誰かに二人の関係を問われても、私には何と答えてよいのかわからない。  あんなにずっと一緒にいたのに、要くんの方から来ない限り、私は彼とは一緒にいられないのだ。自分が主導権を握っているのだと思っていたけれど、私たちの関係は、最初から要くん次第だった。  自由で自堕落な元の生活をようやく取り戻したのに、なぜか気分は晴れない。  信じられないことに、自分で思っていた以上に、私の毎日は要くんに侵食されていたらしい。彼が私の前から姿を消してすぐに、私はまた睡眠不足に陥った。
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