ジェラシーとホラーな爆発

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 私の名前は秋川恵美瑠(あきかわえみる)、彼氏はサッカー部のレギュラーで、県大会でも準決勝まで行く実力者だ。  芸能界とか絵空事が大嫌いで、「スポーツはシナリオがないから面白い、あんなアイドルとか映画とかで喜んでるのはお子ちゃまだ!」なんてデートの時とか胸を張る。  そこがカッコいいとか思ってんだけど、そんな彼が私の弟を連れて特撮映画に頻繁に連れて行くんだ。  おかしいじゃんか、ちっともイメージとあわない。  この前の日曜日、駅前の映画館の前でバッタリ会った時、「せがまれちゃって」なんて爽やかに笑顔で答えるけど、女の勘を舐めてもらっちゃ困る。べつの女の匂いがプンプンするね。  だって、九歳の男の子が、「これで五、六回目かなあ」と言うんだもん。メッチャ怪しいじゃんか。  そういえば口では「スポーツは現実の厳しさを教えてくれる!」なんて言うけれど、一緒にサッカーを観戦したことがない。  訳を訊くと「スポーツは観るんじゃない、やるもんさ」と、答えてくるけど、もう納得できないね。そんな甘ちゃんじゃないって~の!  「へえ~、映画の題名は?」  なんて平静を装って訊いたら、弟はペラペラと『大皇帝vsアナグマン』とか『復活の呪文とアナグマン』とか喋ってくれた。  みーんな人気番組アナグマンの映画ばかりだ。
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