ジェラシーとホラーな爆発

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 俺の名前は後藤忠男(ごとうただお)、サッカー部のレギュラーで、フォワードのポジションを担当している高校二年生だ。  いや、そんなことはどうでもいい、ある日曜日のこと、練習が休みなので、久々に早く家に戻ったら、おふくろから留守中に彼女がやってきたらしい。  ちなみに彼女とは幼馴染だから、おふくろは平気で家の中に入れてしまうのだ。  「恵美瑠ちゃん、遊びに来ているわよ」  「え?」  嫌な予感がした。  俺の留守中に来るだなんて……。  ヤバい! ヤバい雰囲気というか妖気が二階から漂っている。その場の空気に敏感じゃなきゃレギャラ―選手にはなれない。  慌てて、二階にある自分の部屋に行くと、彼女が般若の形相で、俺の本棚にある漫画をせっせとダンボール箱に詰めて、代わりに怪談やホラー小説を本棚に詰めていく。  「なにやってんだ! 俺の漫画を!」  と、叫びたかったが、やめておいた。下手に刺激は禁物、この嫌がらせは彼女の嫉妬心の表れなんだろう。  ズバリ、ヤキモチの原因はアナグマンだ! 彼女の弟の誠君が調子に乗って、ペラペラと映画のことを話すからやばいとは思っていたんだ……。  話を戻す。すでにベッドの下などを探ったようだが、そんな場所に例の写真集などありはしない。押入れの奥のプラモの箱の中に問題の写真集は隠してあるのだ。これは簡単にはバレない自信があった。  (しかし、ホラーマニアだったとは!)  幼稚園からの付き合いなのに彼女の意外な一面には本当に驚かされる。  『血みどろ怪談 絶望!』とか『恐怖怪談、女の恨み節』とか、よく怪談本ばかり買ってきたもんだ。  そう言えば姉貴が出演している『アナグマン』は、オカルト色が強い異色作で、古代呪術を操るカルトな悪の軍団と伝説の超人が戦うという内容になっている。  
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