第1章

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――下着とは神秘である。  純情な白。  爽やかな青。  妖しい色気の赤。  大人の一歩の黒。  たかが色と侮るなかれ。それだけで人というものは己の想像力を限界以上まで高める事が出来る。  純情そうな子の黒い下着、人はそれをギャップ萌えと言う。  一見チャラそうな子が白い下着、良いではないか。  大人びたいと背伸びがちな子供の赤い下着、実にそそる。   ――このように想像とは無限の可能性であり、妄想とは宇宙そのものである。    しかしいざその子が履いてる下着を見てしまうと宇宙の拡大はそこで止まってしまう。妄想とは所詮妄想でしかなく、現実という限界の前には無と返すのだ。  だが裏を返せば妄想のままでいられれば我々の想像は際限を知らず膨張し続ける事が出来る。現実を認識しなければ現実は現実ではなくなるのだ。 ――さて、そんなシュレディンガーばりの理論を提唱した所で表紙を改めて見て欲しい。  鳩の羽ばたきにより風がそよぎイタズラな空気の揺れが少女のスカートを舞い上がらせる。  さぁ、この子の下着は何色だ? 白、黒、赤、青。想像は膨らみこれ以外の選択肢と共に果てなき願望へと駆り立てられる。正に今、この文を読んでいる諸君の頭の中は宇宙なのだ。 スカートの中は桃源郷なのだ。  故にこの絵にはこのようなタイトルを付けたい。 ――理想と現実の境目、と。
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