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彼女は恋愛初心者だった。
男子に夢を見て、その姿にまた男子は夢を見る。
無限ループの始まりだ。
「なぁ、葛城さんの好きなタイプってどんなのだろうな」
「知らないよ。聞いてこいって」
そんなやり取りを毎日聞く。
普段は品行方正、文武両道。勉強ができればスポーツも出来る。その上美人で隙がない。
……はずだった。
「あっあの! 千堂くん、お手紙読んで頂けましたか?」
どう考えても相手は動揺している。しかしこのご時世に手紙というのもどうにかしている。古典的すぎるというかなんというか。
「あー、ごめんなさい。俺彼女いるんですよ」
……すごく申し訳なさそうに帰っていく。そして一人残された葛城あやめ。……男を見る目が無いというか夢を見すぎて彼女持ちばかりに声をかけてしまう。
そして私が成すべきことは一つ。
「次がある! 男なんて星の数ほどいるんだから!」
……この言葉は逆なのではないかと思ってしまう。それでも声をかけずにはいられない。――――陰からだけど。
「……うん、そうよね! 私の運命の人はどこかにいる! 頑張れ私!」
そうやって元気な声で自分を励ましていくポジティブシンキング。これも彼女の長所の一つだった。そんな姿を見て私は――――
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