序章 -はじまりの予感-

6/22
前へ
/61ページ
次へ
血? その一言で、俺は全てを理解した。 動かない体、大きな衝撃の後の異常な頭の熱さ、目の前の赤一色の景色、薄れゆく意識。 そしてたった今、俺を襲ってきた悪寒。 (そうか、俺は頭を撃たれたのか) 死が近づいている。 少しずつ、ゆっくりと。 もうすぐ訪れる死への恐怖を感じながら、俺は...。 ・ ・ ・ ・ ・ 「今日もまたこの夢か。」 目を開けてみると、家の天井が見えた。 いつも見ていて、毎日嫌というほど見慣れている自分の家の天井。 だがこの天井を見ると、いくら見慣れているといえども安心してしまう。 そう、さっきまで非現実的な戦場を目の当たりにし、その場で戦闘を繰り広げていたのだから。 死と隣り合わせの緊迫した状況から、現実という名の平和な世界に戻ってきたのだから、安心するのも無理はない。 「一体いつまで、この夢は続くんだ。」 戦っては殺しを繰り返す夢(地獄)を、15年間見続けてきた。 この夢を見始めた頃は、あまりの壮絶さにショックを受け、苦悩する日々が続いた。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加