序章 -はじまりの予感-

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当然だ。戦場に身を置き、自分の意思に反して、勝手に人を殺していく自分が、夢の中とはいえ、存在しているのだから。 まるで、もう1人の俺が俺自身を操っているかのように。 このままだと精神的におかしくなってしまうと思ったので、心療内科、精神科、神経内科とあらゆる病院(その数は10以上)を渡り歩き、原因を探り治療しようと試みたが、原因が見つかることはなく、地獄のような夢は今なお続いている。 だが、全ての人間に共通しているのか分からないが、「俺」という人間とは不思議なことに、衝撃的な何かを見せられても、最初の方こそショックで生活に支障が出てしまうこともあるが、月日が流れるにつれて、それが当たり前のこと、生活の一部となってしまうことが多い。 もちろん例外もあるが... だから最近では、眠りについても、これから起こるであろう出来事がどんなに凄惨であっても、別に驚くことなんてほとんどない。 驚くことといえば、自分が殺される時くらいか。
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