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「でも~~!」
「・・・・」
――もぐもぐ
「なあ~~~って?」
「・・・・」
食い下がってくるザクを無視してまた一つ魚を口に入れる。うん、新鮮でやっぱうまいな。口に広がる酸っぱさと魚の程よい塩加減。海の幸を味わっている感じだ。
「ルト~~ー・・・」
――もぐもぐもぐ
「~~こんのっわーったよ!!」
「――?!」
―――ガタタッ
大きな音を立てて椅子が床に倒れた。
――そして次の瞬間、
ザクが俺に覆いかぶさるように口付けてくる。
あまりのショックで反応ができない俺。
(え???はあ???なにこいつ急に盛ってんだ!!?)
「・・・ーっんん!ぷっは!なにすんだよ!!ザク!」
「っは・・・はあ・・・・」
息を荒げ俺を見下ろすザク。
ザクの赤い髪が俺の頬をかすりこそばゆい。強い力で両腕を押さえつけられてるので避けることもできない。
(やばいやばいやばい!)
焦りが募っていく。ザクは先の割れた赤い舌をぺろりと怪しくのぞかせ、喉をゴクリと鳴らす。ちょ、なにその反応・・・
(空腹のせいで、まさか俺が肉に見えてる?!)
「こうなりゃ仕方ねー・・・ルトの血をいただく」
「は、はあああ????」
(やっぱか!!!!)
何どこぞの吸血鬼みたいなこと言ってんだ!ジタバタと暴れ抗議をしてみるが、そんなのお構いなしに俺の首に口付けてきた。おい!そんな見えるとこにアトつけんな!またバン達にからかわれるだろ!!
「おい!バカ!今俺食事ちゅ」
「気にすんな、俺様も食事中だから」
「この状況で気にしないのは頭イカれてるだろ!!馬鹿ザク!!死ねっんむーー!!」
俺が叫んでると、手で口を塞がれた。
――そこでやっと気づく。
ザクの爪がいつもより伸びててより獣らしくなっていたことに。そして体にかかる熱く、荒い息遣い。目はランランとしていて、まるで飢えた獣が目の前にいるみたいな威圧感があった。
(・・・ザクのやつ、本当に血が足りなかったのか?)
とはいえこの状況に納得できるわけもなく。ザクと格闘する俺(劣勢だけど)
「んんん!(離せ!!)」
「うるっせーな。鳥が起きるぞ」
「んん、んんんんーー!(お前が離せば、いいことだろっ)」
「あー?なんかいったかー?」
全く聞こうとしてないし。でも俺も少しだけ音量を下げた。
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