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少し寝て起きると、冷蔵庫にあったおかずと、炊飯器の中の米が減っていた。
時計を見ると十四時を回っていたため、瑠璃が薬を飲むためになんとか食べて眠り直したのだろう。
もう半ばクセでホワイトボードを確認する。
寝る前に書きこんだ一言に返信が来ていた。「肉じゃが!」たったそれだけ。
けれど、俺の成長しない料理の腕を奮い立たせるには充分だった。もちろん瑠璃が作ってくれたほうが美味しいのだが、部屋が静かなことからも眠っているのだろうし、今回は俺が頑張ろう。
「エプロンどこやったっけな。まあ、なくてもいいか。どうせ安っぽいスウェットだしな」
だらけた姿勢でキッチンに立ち、レシピに沿って手を動かし始めた。
大学生時代は一緒に作ってみたりもしていたが、就職してからは家のことなんて、おつかいくらいしかしていない。瑠璃が、自分の仕事と言い張って頑張ってくれているからだ。
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