第1章

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 当時住んでいた家から引っ越すときなんかは、本人も努力していたが、やはり自律神経からくる様々な症状が襲いかかり、大変な状態となった。  救急車すら気絶状態でないと乗せられず、病院で目を覚ませば、また薬が効かないほどの錯乱状態。  なにかあれば往診という形を取ることにしている。  しかし、あくまで内科系。近隣に精神科医が出張してきてくれるシステムのある医院はない。少しでもストレスを減らそうと、間取りがほぼ変わらない場所を優先した結果だ。  外に出たくない。外に出られない。  決まっていた就職も蹴ってニートと化した瑠璃に、心の病だからと通院を勧める家族の言葉なんか届かない。そもそも、外に出してやれないような状態になることがわかっていれば、そんなこと言えないだろう。
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