第1章

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「いい匂いがする」 「おっ! おはよう。味見っていうか、出来栄えの確認してくれないか?」  そそそ……、と瑠璃が寄ってくる。まるで餌を目にしたが警戒している野良猫だ。  考えごとをしながら作っていたにしては、なかなかだと思うのだが、どうだろうか。  彼女は数回鼻を鳴らし、鍋の中身を一通りチェックすると、大きく頷いた。 「夕ご飯、楽しみだよー」 「オッケーが出たな。よしよし。瑠璃、具合は?」 「薬が効いているから、今のうちにシャワー浴びようと思って」 「おう。浴びろ浴びろ。手早くな」 「うん」  それでも足取りが不安定だ。ハラハラしながら、ちゃんと目的地へ辿りつけるか見届ける。大丈夫そうだったので、気を取り直して再び料理と向き合った。
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