0人が本棚に入れています
本棚に追加
「いい匂いがする」
「おっ! おはよう。味見っていうか、出来栄えの確認してくれないか?」
そそそ……、と瑠璃が寄ってくる。まるで餌を目にしたが警戒している野良猫だ。
考えごとをしながら作っていたにしては、なかなかだと思うのだが、どうだろうか。
彼女は数回鼻を鳴らし、鍋の中身を一通りチェックすると、大きく頷いた。
「夕ご飯、楽しみだよー」
「オッケーが出たな。よしよし。瑠璃、具合は?」
「薬が効いているから、今のうちにシャワー浴びようと思って」
「おう。浴びろ浴びろ。手早くな」
「うん」
それでも足取りが不安定だ。ハラハラしながら、ちゃんと目的地へ辿りつけるか見届ける。大丈夫そうだったので、気を取り直して再び料理と向き合った。
最初のコメントを投稿しよう!