第1章

19/20
前へ
/25ページ
次へ
 旅行番組を好んで観るとき、目が輝いているのを知っている。  どこどこに新しいお店ができた、なんてローカルニュースを観て、ワクワクしているのを知っている。  外に出たいのを知っている。  どんな欠点だろうと、克服したいと願って行動を続けているうちは、絶対に俺が支えてやる。  そう思えるだけの恋人であり続けて欲しいし、克服しようと思えるだけの恋人であり続けたい。 「――よし。出来上がりだろ、これで!」  味見がてらまだ熱いそれを口の中で転がしていると、浴室のほうから物音が。次いで、俺を呼ぶ声が。  慌てて飲みこんだから喉の奥が痛い。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加