第1章

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「それじゃ、いってきます」 「いってらっしゃーい!」  2DKの手狭なアパート。それが俺の住む家であり、俺の恋人が住む家。  今日も俺は、ブラック寄り企業の使い捨て歯車として働きに出る。そこしか内定をもらえなかったからだ。  玄関で靴を履き、ネクタイが曲がっていないかチェックをしてもらう。それから、忘れ物がないかをリストに沿って、ひとつひとつ確認を取ってもらう。  そんなやりとりを挟んでの出勤だが、四年も続けているカップルというのは俺たちくらいなのでは?  満員電車でもみくちゃにされることなく出勤できるのは嬉しいが、仕事中に日付が変わるのは、正直なところいただけない。  とはいえそれも今月で終わり、来月からは普通に朝から出勤して夜には帰宅できる。もう少しの辛抱だ。
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