第1章

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 痛みと戦った痕跡が残る枕元に、ぽーんと投げ出されていた携帯に充電コードをセットしてやると、充電開始の音が鳴る。それで目を覚ましてしまったのか、もこもこした毛布から、非常にだるそうな顔が覗いた。 「おかえりぃ……」 「ただいま。メモの物は全部買ってきたが、今のお前に必要なもの、足りているか?」 「チョコ食べたい」 「チョコはその痛い日々が終わってからな。医者に言われていただろ? 食べないほうがいいおやつだ」 「うー……。チョコチップクッキーは?」 「バタークッキーなら百歩譲って許そう」 「じゃあ、それ欲しい。いつでもいい」 「寝る前に買っておくとするよ。いつものところに置いておくから」 「ありがとう」  言い終わると、もぞもぞと毛布に顔を隠していくので、面会終了。
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