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彼と知り合ったのは5年前。私は専門学校3年、太陽が2年のとき。動物好きという共通点があり、すぐに打ち解けることができた。 出会って間もなく、彼と付き合うことになった。しかし、3年の私はもうすぐ卒業。卒業してしまえば一緒に過ごす時間は減る。だから卒業までの半年はとにかく色々な所へ行った。動物園、水族館、海、遊園地、買い物…とにかく一緒に過ごせる時間を大切にした。 卒業し4ヶ月、ようやく仕事にも慣れ、休日に遊ぶ余裕もできた。卒業以来で太陽に会う。4ヶ月ぶりの太陽は一回り大きくなっていた。なんだかくすぐったくて、少し、緊張した。 夜、お酒でも飲もうと近所のスーパーへ行った帰りだった。そのときはおつまみやお酒やらを持っていたので手をつないでいなかった。けれど彼は私に歩幅を合わせて歩いてくれる。喋らなくとも一緒にいることができるその空間が私にはとても嬉しい時間だった。 けれど、突然謎の不安に襲われて「太陽…?」と話しかけたものの、返事がない。もう一度名前を呼ぶ。けれど、やっぱり返事がない。得体の知れない不安に襲われながらも何かを感じ取った私は横を向くのが怖かった。 意を決して太陽がいるはずの方を向いた。太陽は、どこへ行ったの…?さっきまですぐ隣にいたのに。もしかしたら帰ってくるかもしれない、そう思って太陽のアパートへと帰った。
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