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ガタガタ、ガタガタと今日も馬車に揺られ、土が踏み固められただけの街道を進む。
御者台から見える景色はゆっくり前から後ろへと流れていく。
コンクリートジャングルなどというものは無く、空と、山と、森と、草原と。
そんな長閑な景色。
運が悪ければ、そこに魔物なんかがプラスされる。
ゴブリンがあらわれた!なんてね。
此処は、この世界は、俺のような者から言えば【異世界】と呼ばれる場所だ。
もうすぐ六歳の金髪碧眼ツインテ女子で、名前はアリューシャ。
仲の良い人からはアリスと呼ばれている。
それが今の俺の姿。
ぶっちゃけると【DTだから】という理由でこの異世界、この女の子の身体に転生させられたのだ。
この異世界で”魔法”と呼ばれているモノは使えないが、魔力を直接操作することによって、土とかから道具を作ったり、身体を強化したり、見えない触手を生やしたり出来る。
故郷の村を出て数日、遠くに見える山にはまだ点々と雪が残っているが、少しずつ春が近づいているのを感じられる気候だ。
街や村があれば宿をとり、無ければ休憩所で野宿。
そんな日々が続き、予定の半分を過ぎている。
俺は御者台の隣に座る老女から、馬車の操縦法を学びつつ街道を走らせていた。
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