恋したあの子の落とし穴

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文武両道の才女とは、まさに彼女のためにあるような言葉なんじゃないかと最近思うようになってきた。 高校二年生の春。 クラス替えも無事終わり、他のクラスメイトにも馴染めてきた所だった。 ようやく周りが理解できるようになって気付いた彼女、天野ムツキ。 普段は薄いフレームの黒縁眼鏡をかけた如何にも『出来る女』という雰囲気を醸し出す彼女。 まさに見た目通りだった。 天野さんのテストは常に100点、さらには陸上部でも好成績を叩き出しているらしい。 まさに文武両道である。 僕、岸田マサトは、そんな彼女に惚れました。 そんなある時、転機が訪れたのです。 クラス替えして、初めての席替え。 くじを引いて出たのは、窓側の一番後ろ。 教室から一番遠いし、面倒くさいなと思っていた。 だけど……。 ガタリと椅子を動かし、僕の右隣の人物は座った。 あれ……? 見覚えのある顔が、隣にあった。 「あっ……えっ、天野……さん?」 「隣は君だったか、岸田くん。よろしく頼むよ」 そこに座ったのは、天野さんだった。
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