恋したあの子の落とし穴

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その日から僕と天野さんの、内緒の関係が始まったのだ。 放課後に屋上に集まっては、密かに練習している。 その練習は手に触るだけという事だが、それでも僕は2人で居れる時間が増えて幸せだった。 そしてより、彼女の事を好きになれたんだ。 「指先だけでもいい、ゆっくりでいいから触れてみて」 「こ、こうか……?」 そっと天野さんが、僕の手に触れようと手を伸ばした。 だが触れるか触れないかの距離で、いつも手を引いてしまう。 首を横に振り、顔を真っ赤にさせる。 「やっぱり、無理だ。私には、触れる事なんて……」 頬を赤らめる姿に、僕は少しドキリとした。 クラスで遠巻きに見るだけじゃ、絶対見ることのなかった顔。 こうして近付けた事ですら奇跡なのに、まだ僕は欲張ってしまう。 もっと、天野さんを知りたい。 胸が熱くなり、好きだという気持ちが抑えきれない。 僕はもう、どうしようもない程彼女の事を好きなっていたんだ。
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