期待せざるを得ない

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この前、職場でPCをちょちょいといじっていたんですよ、そしたら同僚が 『ルーシーさんちょっといいすか?』 と、僕を呼びにきたんですよ。 僕は、「なんだよ、めんどくせぇな、ぷりりん」とか思いつつも、同僚のデスクまで赴いたわけですよ。 こう見えても僕は、ジョナサン・ジョースターに劣らないくらいの紳士なわけで、めんどくさいと思いつつも、やっぱほっとけないんですよ。 近くにいる時は何も思わなかったのに、むしろうるさい奴で正直煙たかったのに、離れてしまうと何故かアイツの事ばかり思い出しちまう。 俺、今気づいたよ、おまえが離れて初めて自分の気持ちに気付いたよ。今なら言える、恥じる事なく言える、俺、おまえの事が… みたいな僕と幼なじみの淡い青春ストーリー、まぁ、それくらい同僚達にも思いやりを持ってるわけですよ。 問題は僕に幼なじみなんて居ない事だな。うん。 『ルーシーさん、これ、どう思います?』 同僚がPCを難しい顔をしながら見てるんですよ。 「んー、これは、難しいな、ちょっと待って、考えさせてくれる?」 僕の言葉に同僚も深く頷きながら、二人でPCを睨んでいたんですよ。 僕くらいのエリートとなると、やはり同僚に頼られる事も多いんですよ。 僕もね、架空の幼なじみとの妄想ストーリーを脳内でロードショーしている場合ではないって思いましたね。 それくらい難しいんですよ、うん、かなり難解なマインスイーパーなんですよ。 マインスイーパーなんですよ。 うん、仕事中にマインスイーパーの事聞きにきた。 狂ってる。 この会社、仕事とゆー概念を引き出しの奥にしまってるんじゃねぇかってくらい、誰も仕事しないから困る。困るとゆーか、狂ってる。社長ハゲだし。 そんな僕も、マインスイーパーしてましたけどね。 僕らが、首をかしげて考えていると、むかいのデスクあたりから女性社員達の声が聞こえてくる。 やっぱり女性社員も仕事しない。 耳をすませると、下ネタですよ。 僕が、興奮…じゃないや、怒りながら聞いてますと 『それよりスキマスイッチいいよねー。』 な、な、なんだって!? スキマスイッチ? スイッチ? 隙間スイッチ? あなた達の隙間にスイッチが? 押すとどうなっちゃうの!? 押したい! 全力で押してみたい! すると 『私は全力少年が好きかなー』 全力少年!? 全 力 少 年!?
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