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大体僕はミラクルってのがあまり好きじゃない。
なぜなら僕に起こるミラクルのほとんどが、僕にとってマイナスもマイナス、それはもうマイナスな事ばかりたからだ。
もうこの上司の口からは、とめどなくマイナスイオンとかゆー、マイナスなのに人間にはプラスですよみたいなわけのわからない物が滲み出てんだろうなぁ、てな事を思ってパッと顔をあげると、なんだか雰囲気おかしいのよ。
なんてゆーかね、うん、ぶっちゃけ皆が聞き耳たててんのバレバレなの。
隣の女子なんか僕がチラって見た瞬間、パソコンのキーボード叩きだしてた。
仕事してますよみたいな感じで、でも仕事ないし、あきらかに画面にむちゃくちゃな文字やら記号やらが打ち込まれてるの。
うん、どうしようもなくバレバレなの。
普段、変態だのクレイジーだの金返せだの言われてる僕も、なんかしらないけどおもしろい奴だと思われてるらしく、みんなは、出るよ出ちゃうよー爆笑発言出ちゃうよー、とか期待してたと思う。
狂ってる。
とゆーか、答える前からクスクス聞こえてた。もう嫌だ。
まぁ、例えマイナスイオンを口から滲み出すおじさんでも、例えマイナスイオンがとめどなく溢れていても、上司は上司ですよ。でもマイナスイオンおじさん。
そんなマイナスイオンおじさんとか狂ったあだ名をつけられても、やっぱり上司は上司、無視するわけにもいかないから、「えっと、読書とかです。」と言ってみた。
背伸びして言ってみた。モコミチみたいに男前な感じで言ってみた。
すると、アレですよ。
なんか社内中がザワってなってるんですよ。
「読書?マジで?」とか
「あーでもなんとくわかるー。」
とか「独唱?さくら?」
とか聞こえてくるんですよ。
てゆーか、おまえら暇人すぎるだろ。
普段は読書してます発言だけでそんなざわつく人たち初めてみた、わぁお、アンビリーバファローズ。バファローズ。
でもね、でもですよ。
僕は聞き逃さなかったし、見逃さなかったんですよ。うん、女子社員達の見る目が変わっているのと
「なんかクール」だとか
「変に知識あると思ったら、なかなか。」だとか
「素敵、好きにして!」とボソッと言ったのを!
最後の台詞は直接脳内で聞こえたんですけどね、ぷるるん。
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