「宗教」

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「宗教」

家のチャイムが鳴り来客だった。 インターホンで応答した。 「~の教えを是非知っていただきたくてお邪魔しました。小冊子を読んで欲しいんですが。」 よくわからない宗教の勧誘のおばさんらしい。 「ポストにお入れさせてもらっていいでしょうか?」 さらに話し続けている。 「あのぅ、それは困るんですよ。」 私の中の遊び心が動き始めた。 「は?」 「実は私はとある密教の信者でして他の宗教の冊子など持っていようものならどんな肉体的制裁を受けるか恐ろしくて...。」 「そうなんですか!」 「はい...。実はこうして異教徒の方と話しているのが知られるだけでも危険なんです。」 「えっ!」 「それほど厳しい教えなのです。」 本当に信じているみたいだ。 「さらに申し上げるとこの辺り一帯の住民はその信者ばかりなので布教活動をされるのは危険極まりない行為なので控えられた方が...。」 「なるほど...。ありがとうございます!」 窓から眺めていると一緒に回っているらしい仲間に声を掛けてそそくさと引き上げて行く。 悪いことをしたかな? でもこんな話しを信じるくらいだから純粋なのかバカなのかわかんないな。
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