「爆発」

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「爆発」

すぐに怒りを爆発させる、彼はそんな男だ。いつも猛っているのでただ何にでもケチをつけたいだけのバカだと周りは認識しているが、その暴れ方が常軌を逸しているので気が気ではない。 柔道でいう「オトす」 頸動脈を絞めて気絶させるのを誰にでもする、気に入らない奴は眠らせるということだ。それまでに殴りたいだけ殴ったりもする、空手とボクシングをやっていたので見せかけの筋肉ではなく俊敏さが違うのだ。 やり過ぎて殺してしまい少年院に入った経験から殴り過ぎないようにはなった。 しかし相手構わずなのは変わらない。相手がスジモノでも一切迷いはない。 報復があるんじゃないのか? 誰もが最初はその疑問を持つがそこが彼が自由に振る舞える理由なのである。 彼の実家は地元で有名なラーメン屋でいくつかチェーン展開しているほどなのだがそれを一代で築いたのが彼の父親で若い頃は地元で鳴らしたワルだった。 それが改心して絶妙なラーメンを作り上げ店を開き組に入ったものの、まだまだ 下っぱで懐が寂しいワル仲間達に毎晩ご馳走してやったのだ。 その仲間達が今では幹部クラスなので息子には手出しなど出来ない訳である。 今宵も彼はどこかで誰彼構わず暴力を振るっている。 親父の顔で恐れなど欠片も無い。 しかしである。 彼が我が物顔で往来の真ん中を歩いていると背後からあらゆるモノや人間を蹴散らしながら走って来る車があった。 悲鳴に振り返った彼の目に入った車の運転者は白目を剥き口からは泡を吹いていてそのまさらにま加速して彼を跳ね飛ばし即死させた。 さすがに天燗の危険運転者には変な威厳は通じなかったのだった。
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