「少年」

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「少年」

少年は一人で湖面を眺めている。 白鳥が時々羽根をばたつかせて少年に合図を送っているように見える。 少年は自分も白鳥のように湖面をすいすい泳いでみたいと思っている。 それでついつい水際まで歩み寄ってしまう。 知らないお姉さんが そんなところにいちゃ溺れちゃうよ と少年の手を引っ張って売店まで連れて行きソフトクリームを買ってくれた。 でも少年は白鳥に夢中だからお姉さんが邪魔だった。 ソフトクリームをお姉さんのスカートに投げつけた。 怒ったお姉さんは少年を頭から湖に叩き落とした。 少年は浮かび上がったが額が割れてたくさん血を流して目が見えないぐらいだった。 それを見てお姉さんは笑った。 言うことを聞かないからそうなるのよ ごめんなさいって言ってみなよ それどころではなかった。 血が止まらない少年は意識が朦朧として 周りの水も血で赤く染まり出した。 助けてって言いなさいよ お姉さんの声は少年には聞こえていない。 このまま死ぬのかな 少年は思った。 出て行ったママが最後に買ってくれた靴が脱げてぷかぷか浮かんでいる。 ママ ママ このままもう会えないのかな 会いたいよ 少年は涙を流したが血と混じって湖へと流れ落ちた。
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