「理由」

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「理由」

約束した通り俺はお前を愛するよ 妹の告白に兄が禁断の決意をした。 「理由なんてどうでもいい!私は兄さん以外にときめいたり出来ないんだもん。」 「それが本当なら一年様子を見よう。それでも他の誰かが好きになれなかったら俺がお前を妹としてじゃなく好きになってやるよ。」 そして一年が過ぎ、妹の気持ちは微塵も変わることなく兄は約束を守ることにしたのだった。 三歳違いで妹は高校三年生、兄は一浪したので大学の二回生だ。 「禁じられた関係っても不倫も教師と教え子でも会社員とJKでも当たり前なんだから私達も特別には変じゃないよね。」 兄は返答を躊躇った。片方が両親どちらかの連れ子で結局直接の血縁ではないとかはドラマや漫画でよく有るケースだが完全な兄妹でというのは聞いたことが無いからだ。 それでも妹と同じく自分もずっと妹を女性としか思春期に入ってから見ることが出来なくなっていたのも事実だった。 特殊な条件下に育ったわけでもなく平凡な普通の両親のもとで暮らして来たのにどうして二人ともこんな感情になってしまったのだろうか?本当に妹が言うように好きになるのに理由なんていらないのだろうか。 かといって付き合う宣言はしたものの近所では兄妹に見えない様子だと困ったことになるのは目に見えていたので極力一緒には歩かないようにした。家の中でも必要な事以外は両親のいる時は話さないようにした。 そうすれば尚更、二人きりになった時には燃え上がった感情に任せてますます愛し合うようになった。 普通のカップルなら好きなように付き合って飽きたりすれ違って終わったりするのだが制約があると一切関係を止めようなどとは思わなくなるのだ。 どうしたものか?考えている内にさらに一年以上が過ぎ兄は就職で独立し妹は女子大生になって環境が全く変わった途端に一気に気持ちが両方とも醒めた。 自由に会えるようになったからだ。 理由など無いようであったのだった。
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