「Christmas」

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「Christmas」

早いものでクリスマスまであとひと月と少し。別に予定があるわけではないがどうしても思い出してしまう。 五年前の12月、彼女も彼もまだ情報系の専門学校に通っていた。付き合っていると宣言したわけでもないし、実際に恋人関係だという実感も二人にはない。 ただ、周囲から見るとその親密さは恋人以上にしか見えない。このまま結婚まで行くのが自然と映っていた。 街はイミテーションが施され嫌でも気分は高鳴る。恋人がいない男女は焦ったりふて腐れたり。 「クリスマスってどうするの?予定ある?」 完全に普通の口調で彼女に聞いて来る。 「予定なんかないよ。でも相手がいない女の子の友達がパーティーするんだって。」 「女の子はいいよな。男が集まってクリスマスパーティーなんて想像したくないや。」 「確かに。私はどうするんだろ?パーティー参加かな?」 「友達には言ったの?参加するって。」 「軽くだけど、参加しようかな?って言ったら冗談やめてよ!って怒られたよ。どうしてだろ...。」 「僕も友達に予定無いって言ったら、これから決めるんだろ?って笑われたよ。何のことだろう?」 彼って本当に天然みたい...。私から告白して断られるのが怖くて待ってたけど急がないと誰かにとられちゃうかも...。 彼女はマジで気付いてないんだろうか?確かに会話もふわふわしてて現実から浮遊してるし、そこに惹かれたんだけど。そろそろ告らないとタイミング逃がしちゃうな...。 「あのね。」 「あのさぁ。」 思いきって切り出した言葉がクロスしてしまい、相手の表情の真剣さについ二人とも笑ってしまった。 そしてすべてを悟ることがお互いに出来た。 気付いたら唇を合わせていた。 「もうクリスマスなんて特別関係ないね。」 「ずっと一緒だもんね。」 そんな二人でも翌年のクリスマスにはもう別々の相手がいた。 恋愛なんてそんなものだ。 だから素敵なのだ。
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