283人が本棚に入れています
本棚に追加
/405ページ
肉体強化も無しに来られては止まってるも同然。
どう迎撃しようかと考える時間を易々と与えられてると思った時点で…。
「ほい、一回目」
瞬きの間に距離を詰められ、喉元ギリギリに刃が突き付けられていた。
「んなっ………」
一瞬。
ほんとに一瞬の出来事だった。
光と天体属性の反応が僅かに出たと感知した時には今の状態に…。
速い…速すぎる…。
「おいシエルどういうこったい。今の本気だったら死んでるぜ」
「お前が速すぎるんだ。今のはお前の瞬光とやらだろう?だが、反応すらできないのはちょっとな…」
「まあそれもそうか。ルシファーなら今のは反応できるけど」
「なに……?」
「当然だ。命のやり取りをそれなりに潜り抜けてんだからな…お前みたいに平和な頭ではルシファーは愚かお前の親父なんて一生追い付けやしねぇぞ?まあそれでもいいなら構わんが」
「誰もそんなことは言ってない!」
翔にバカにされ、怒ったシリアはがむしゃらに剣を振るう。
どれかは当たるだろうと思ってはいたが、翔はそれをことごとく受け流す。
時には避け、時には刃を合わせ、合間に一つ蹴りをぶちこんだ。
「ほれ、まだ若いんだから動けるだろ」
人差し指をくいっと手前に曲げる挑発にシリアの目元がピクッと動く。
「シャインスコール!」
翔の上空から光の槍が何本も何本も降り注ぐ。
それを翔はグライドで回避せずに、己の足の運びのみで全てを避けつつ距離を詰め始める。
が、シリアは次なる魔法の準備をしていた。
「フォトンレーザー!!」
魔法陣から放たれる光の塊。
翔を飲み込まんと放たれたその一撃は………。
「その程度なら、斬れそうだな」
あっさりと斬られてしまった。
「いやいや待て、魔法を斬っただと?」
「怖じ気つくのはまだ早いぞ?俺に一太刀入れられるもんならやってみろい。幸い体力は回復してっからおじちゃんまだ動けるんだなぁ」
が、何よりもこのふざけておちょくってるこの態度が一番気に食わない…。
遊ばれてる…。
ほんの数秒でそれを分かっただけでも充分なのだが……。
最初のコメントを投稿しよう!