第17話:天使が住まう世界

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翔の体調を気にしてか、今日は午前中の部で帰すことに。 「少しは良い刺激になっただろう…ありがとう、翔」 「なぁにいいってことよ。必要とあらば今んとこ暇人だからいつでも声掛けてくれや」 翔本人も他の者にちょっかいを掛けたりと気分転換ができ、満足げに演習場を後にする。 再び城内へと戻り、窓から見える城下町を眺めつつ自分の部屋へと向かう。 城内の者も翔のことを知っており、見掛けては声を掛けたり、中には敬礼をする者まで…。 そしていざ自分の部屋へと戻ると、ベッドに踞ってる金髪赤眼の何かがいた。 見間違いか、又は入る部屋を間違えたのだろうと思い扉を閉めるが、部屋の位置は間違ってない。 溜め息を一つ吐いて翔は再び扉を開ける。 「んーパパの匂いがする……」 「なぁにやってんだウリエル」 「ハッ!?」 慌ててベッドから飛び降りるも時既に遅し。 突っ込みたい部分が色々あるが、それはさておき…。 「何か用か?」 「ゼウス様が呼んでるから迎えに来た。あとついでにパパの匂いを嗅ぎに来た」 「いやそれ俺の匂いだし。初めてだぞそんな風にガッツリと嗅がれたの」 「てへ」 「親父も大変だったんだろうな…」 と、ぼやくが、それよりもゼウスが呼んでいるとなれば理由は一つ。 エリクシルでも回復しなかった魔力のことだろう。 別に早急にどうにかしないといけない訳ではないと思うが…ラファエルはこの事を知ってるのだろうか? 「ラファエルは知ってるのか?」 「ラファエル先輩にはゼウス様から念話を送ってるから大丈夫」 「なら良いか。じゃあさっさと頼むわ」 「えー…もうちょっと…」 「 ダ メ だ 」 うすら寒い何かを感じた翔は少し強めに言い放つ。 ウリエルは口を尖らせ何かぶつくさ言ってるが気にしないでおく。 「じゃあ行くよ」 部屋の天井に純白の魔法陣が描かれる。 転移を伴うその魔法陣が眩い光を放つと共に訪れる浮遊感。 塗り潰された視界が再びはっきりとする頃には、足下が雲で覆い尽くされている天上の世界。 天使が住まう天界へと招待された。
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