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「これまたテンプレみてぇなとこで…」
「ここは所謂門口だね。外界からの転移は全部ここに繋がるんだ」
「ほう…」
一本道の先に見える、凱旋門に似た造りの門の横に立つ天使が二人。
守衛の者であろう二人がこちらに気付くなり、ホテルマンさながらの礼を送った。
「ウリエル様、この方が…?」
「うん、龍崎 翔だよ。ゼウス様が呼んでるから連れてきた」
「…この度は心身共に疲れてる筈の所、足を運んで頂き光栄です。父君の事に関してはさぞ、心労は計り知れないでしょう…」
流石に父親のことは知れ渡ってるようだ。
それもそうだろう、ここの長であるゼウスの契約者が死んだとなれば一刻も掛からず皆の耳に入るはず。
にしても、この天使の行儀の良さに感服してしまうな、と。
翔は真っ先にそれを思った。
「そっちも気遣いどうも」
「ゼウス様がおられる宮殿はこの道を真っ直ぐ行った先にあります。地上界には無い物もあるので、良ければ是非、一度は見て行って下さい」
「おっ、じゃあ用が済んだらそうさせてもらおうかな」
「んじゃ私は行くね」
守衛の二人は再び礼をし、二人を見送る。
門を抜けた先はさっきの一本道よりも幅が広く、所々に店が立ち並ぶ。
食材屋に雑貨屋、軽食店に魔法具屋、魔法武具屋に魔法書店などなどと、魔法関連の店がよく目についた。
「魔法関連の店が多いな。種族特有ってやつか?」
「そうだね。私達天使は基本的に魔法を扱うことに長けてる種族だし、武器とか物理的な物は苦手な方なんだよね…そもそも今じゃよっぽどの事が無い限りは武力行使は無いけど…」
「でも武器屋があるってことはそれも視野にあるのか?」
「それはほら、下界に行くにあたってのお守りみたいなものだよ。ここには魔物は一切出てこないし」
「あ、なるほど…魔法武具屋ねぇ…」
魔法と剣を扱う者として興味を惹かれた翔。
ゼウスとの用事が終わったら時間によっては真っ先に寄ろうと思いつつ、宮殿へと足を進めた。
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