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「して、今日この場に呼んだ理由は他でもない。お主にエリクシルの魔力回復が効かないと聞いてな…原因を調べたいと思う」
「だろうと思ったよ。多分無理だとは思うが…俺の『永遠の黄昏』の代償だな」
「『永遠の黄昏』…か。あの者の契約者故に同じ【黄昏の戦神】としての宿命なのだろうか…」
流石はゼウスと言うべきか、黄昏のことを知っているようだ。
更には翔が本来居た世界で契約している者のことを知る限りでは、彼もまた、精霊の類いであろう。
「確かにこのご時世、魔力が物を言うからな。低ければナメられるし、戦いに身を置く者となれば死ぬ確率も高くなる………早く元に戻してくれようとする気持ちだけで俺は充分だ」
でも………。と、翔は少し黙り、迷った素振りを見せつつも話を続けた。
「強いて言えば、普通に形として残る剣とか刀があれば問題無いかな?魔力が元に戻るまでは護身用としてね」
翔が持つ氷神剣と黄昏解放時に現れる双剣は翔の魔力で形成されており、当然魔力を消費する。
ならば少しでも魔力の使用を控えるのであれば、鞘に納まるタイプの刀剣類を持つのは必須である。
翔の頭に過ったのは先程目にした魔法武具屋。
あそこなら何かしらあるのでは?と思い口にしたのだが………。
「それなら魔法武具屋に聖が前に頼んでいた物があるはずだ。後で行ってみるといい」
「マジかよ………つーか、親父どんだけ未来予知使ってやがるんだっつーの」
「聖の属性が時属性なのは知ってるだろう?聖がここに来る前にその負荷の軽減だけ頼んだらしい」
「まぁ、それなら納得だわな」
と、軽く済ませているが、時属性はもちろんこの世界では禁忌中の禁忌魔法。
主に『速さ』に関するものが多いが、極めると聖のように『未来予知』ともう一つ使える。
それ故に、聖は元の世界で命を落としているのだが…。
「恐らく今のお主には必要になるであろう。手配はしておく」
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