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その物を早く見たいが為に魔法武具屋に直行した翔。
一応の付き人ということでまだウリエルが同行しているが、翔としてはもう頭の中は新たに手にする武器でいっぱいである。
「親父が頼んだ武器か………性能とか何があるんだか…」
「なにぶつぶつ言ってるの?気持ち悪っ」
「うっさい」
魔法武具屋に入るなり、目に映るのは様々な装備品や特殊な加工をされた道具、所謂マジックアイテム等が綺麗に陳列されている。
「いらっしゃい。あんたが龍崎 翔だね?」
「おう。頼まれた物を取りに来たよ」
カウンターにいたのは老婆の天使。
ゆっくりな喋りとちまっとした体はどこか愛くるしささえ思える。
「まるで孫みたいだね。待ってな………あんた!聖のせがれが来たよ!」
老婆がカウンターの裏に声を掛けると、翔が思わず「おおぅ…」と一歩下がってしまう程の巨体が奥から出てくる。
天井に頭が付くのでは?と思う程の身長にまさしく『マッチョ』が似合う強靭な肉体、燃えるように赤い長い髪に鋭い目付きは職人というよりも戦に身を置く者と言った方が良い気がする…。
「………お前が、そうか」
「お、おぅ…」
「俺はレウス。ドワーフの生き残りだ」
ドワーフ…。
翔はすぐに自分の知識を検索すると見事にヒットした。
絶滅危惧種のドワーフ族。
鍛冶を得意とし、彼らが造る武具は全て貴重なものばかり。
翔が住む世界での遥か昔、神々の戦い【ラグナロク】や神話等に登場した武具も彼らドワーフ族が作ったとされている。
ちなみにだが、翔が使う氷神剣アクターネファリウス。
この名前もとある神話から拝借している。
言ってしまえば名ばかりの模造品にはなるが、これから持つのは本物のドワーフ族が造ったもの。
翔の中で期待が膨らむ。
レウスがカウンターに置いたのは、鞘に納まっている直剣と刀。
直剣の方は細身で、柄の部分には鳥が翔んでいる紋章のような装飾が施されており、刀の方は鍔が無く、抜けばすぐに斬れるよう鞘の形にもこだわったようだ。
「名はまだ無い。一つずつ付けてもいいし二つで一つの名前でもいい…お前が決めろ」
「………」
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