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鞘から一つずつ抜き、翔は交互にその輝きを眺める。
「両方共繋ぎにアダマンを使ってるから切れ味は問題ない。効果はそれぞれ違うがな………剣の方は相手が放った魔力を纏って相手に返す『リフレクター』を…刀の方は魔力を吸い取る『ドレイン』が付いてる…魔法を斬るお前に合わせて武器の効果を重視させてもらった。
剣の方にある鳥はお前の名前、『翔』をイメージして彫らせてもらった」
「ほえー………やっべぇなこりゃ」
「もう一振り造れと言われたら無理だと即答できる傑作品だ。聖の頼みだからな…妥協も一切無い」
武器の説明を聞きながら鞘に納め、ホルダーが付いていたので剣を右に、刀を左の腰に装着する翔。
鞘の色も漆黒で、今着ている服に同調して様になっている。
「名前か………難しいな…」
神話の中から拝借するのもいいが、それでは父とレウス、二人の想いが台無しになりそうな気がしてならない。
ならばいっそ自分のオリジナルで付けてしまおう………でも何にしようか眉間に皺を寄せて悩み始める翔。
「何そんなに悩んでるの?」
「そりゃ悩むわ。子供に名前考える並に」
うーん…と唸る翔を見たウリエルは話にならないと思ったのだろう、周りの商品を適当に見て回ることにした。
「下界に行ったら息子によろしく伝えといてくれ。たまには顔を見せに来いとな」
「息子…?………あぁ、なるほどね」
レウスの言葉を理解した翔は、双刃(仮名)の名前を先送りにし、店の外に出た。
一服したりすれば何か思いつくかもしれないと思ったのと、客が入ってきたのもあって長居するのを止めて二人は噴水がある広場のベンチに腰掛けていた。
「簡単に決めたらなんかなぁ…各々に名前付けたいし、二つまとめての名前もいいしなぁ…」
「ねぇ、あそこのアイス食べたい」
不意にウリエルが指差した方を見ると、翔も元の世界で見慣れたアイスクリームの屋台があった。
これも父親の影響なのだろう、なんだか元の世界に帰ってきたような感覚になり、ウリエルが娘のように思え、仕方ないなぁ…と言いつつウリエルの我が儘を叶えてやる翔。
(紛れもなくガチの神剣クラスだろうなこれ…魔法剣じゃないからパクる訳にもいかないし…)
だが、頭の中はずっとこれである。
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