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再び自分の部屋に戻ってきた翔。
外からは夕陽の光が差し込み、これから夜へと移り変わるのだろう。
(ありゃ。なんだかんだで長い時間居たのか俺)
本人としてはまだ午後3時辺りだろうと思ってたらしく、頭をポリポリ掻きながら窓からの景色を眺める。
窓際のテーブルに置いてある七星に火を点け、一吸いしようとした時である。
「お帰りなさい、随分と長かったわね」
「ごっふぉぉお!!」
既にスタンバっていたのだろう仕事も必用最低限済ませたラファエルがソファに座って帰りを待っていたようだ。
タイミングが悪かったらしく、盛大にむせた翔。
これは肺にも喉にもキツいものがある…。
「うぇ………お前狙っただろ今の」
「いいえ?いつまでも気付かないからいつ気付くのかなぁ…って………それより、あっちで何やってきたのかしら?」
「ん?親父が遺した武器を取りに行った」
これこれ、と腰に下げてる【天剣・陰陽の太刀】を指差す。
各々の性能等を説明するも、ラファエルは何故かジト目で天剣と翔を交互に見る。
「対魔法の完全武装にも程があるじゃないのこれ」
「ま、それも使い手次第ってとこか。………ラファエル、この後空いてるか?」
「あら、デートのお誘いかしら?」
「バーロー。性能を試しに外に出っからお前に念のための護衛を頼みたいんだよ」
「結局一緒じゃないの」
「ん?………あ、そうだな」
結局一緒ではないと思うが…。
二人としてはまあそうなってしまうのだろう。
もう少しで夕飯なので、出るのは日が暮れてから。
向かうのは誰も居ない、翔の贄となったニライカナイに決めた。
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