第18話:ラファエル大激怒

4/16
前へ
/405ページ
次へ
見覚えのあるその姿に翔はその少女の隣まで歩く。 足音に気付いたのだろう栗色の髪を靡かせ、少女は…リアは翔の方へと向いた。が、すぐ海の方へと戻す。 「何泣いてんだ」 「………泣いてない」 「違うのかい」 「一通り落ち着いたから少しゆっくりしようと思ったの。翔が次に向かう所、結構凄いことになってるよ」 「………マジか」 「ルシファーが放った魔物が勢力を拡大させつつ、その一部がヒノモトにある【卑弥呼の天鏡】を狙ってるみたい」 「なんだそれ?初めて聞いたぞ」 翔としては【妖刀・村雨】か【草薙剣】とか神話や実在した武具が出てくると思ったが、【卑弥呼の天鏡】は聞いたことがない。 卑弥呼は知っているが、ここは世界が違う。名前は同じでも全くの別物だろう。 「【卑弥呼の天鏡】は昔、卑弥呼というヒノモト一の魔法使いが愛用していたマジックアイテムで、僅かな魔力を注ぐだけで魔法の効果を何倍にも跳ね上げる鏡なの。ただ、使用者を選ぶ訳でもないから、誰にだって使える…」 「成る程、その情報を得た頭のいい魔物がそれを使って魔王になるかルシファーに復讐しようって魂胆かな?」 「多分………本当なら私が行けば簡単なんだけど…」 「他にもやることあるんだろ?俺に任せろい。新しい武器も手に入れたことだし丁度いいわ」 「翔?まさか一人で行く気じゃないわよね?流れ的にそうとしか考えられないけど」 話に夢中で「やっべ忘れてた」と顔をしかめる翔。 ラファエルとしては魔力が回復してから見送りたかったが、流石に今日明日の話では不安が残るばかりだ。 いくら体力が回復したとはいえ、魔力が低い今ではどこまで戦えるか分からない。 そんな状態で一人旅立ち、命を落とすことになればどうなることか………。 「リアちゃん?ちなみにヒノモトは今すぐにでも行かないと危ない状態かしら?」 「ううん。ヒノモトは海に囲まれてるからそう簡単には着かないし、あそこも【円卓の騎士】の支部ギルドがあるからまだ大丈夫………でも」 急に言葉を濁すリア。 今の話だと魔物に関しては暫く大丈夫そうだが…他にも何やら危険要素があるらしい。
/405ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加