第一章 サンタクロースの絶叫

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夏といえばスク水と花火を思いついてしまったのは俺だけだろうか、なんてことを思いながら俺はベッドから起き上がり上体を起こした状態でねむと呟いた。 時計の針はーーーなんてよく使われる表現はここでは使うこととし、現在8時56分、完全なる遅刻時間を指していた。 やれやれなんなんだまったくとかキザったらしくも前髪をふわりと掻き揚げながらドアを開けた先には計26段の螺旋階段が。 こいつのおかげで高校に行く前に筋肉痛を起こしかねないといってもいいほどのそれは、俺を死地へと追いやらんばかりに口を大きく開けていた。 ここでいう死地とは、今やきっと在宅ワークを副業で朝からやっているであろう我が母みみみのストレスが俺の腹筋に突き刺さることを意味している。 (あー、そうだったそうだった。この時間に起きると母さんうるせえしな。どうしよっかなー窓から抜け出そうかな) とかなんとか、突拍子もないくそったれなことを思いながらゆっくりと階段を、俺は降りる。 ミシ、ミシ、と耳を裂く音が聞こえるのはこの家が築63年の木造建築だからだろうか、否。 ミシミシ音ともにゴールへ辿り着いた俺は母のいる部屋に音が聞こえないようにそーっと冷蔵庫を開ける。 そこには、案の定というかもう予想通りというか、気持ちよさそうに白い布団に寝そべっている黄身が目玉焼きとして存在していた。 (これがあるってことは母さんはもうとっくに俺が起きれなかったことに気づいているわけか。いつもなら在宅ワークの最中に、ようやく俺が寝坊したことに気づいてくれるんだが、こんな日もあるもんだな)
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