第一章 サンタクロースの絶叫

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コーヒーうまいなと思って幸福感に満たされていると、アイフォンがぶーぶーぶーとうるさく振動した。 なんだなんだ、こんな朝っぱらからとぶつくさと呟いていると連絡先に登録のない番号から通話がかかってきていた。 (なんだこれ、022?きっと誰かのいたずらに違いない。ああそうだ絶対そうだ。いたずら以外の何でもない) 俺は登録のない電話番号には掛け直しすらしない主義なのでそのまま放っておくことに決めた。 それはそれで良いとして、高校に遅刻してでも行くべきか。 そんな疑問がふわりとやってきた。 やってきた疑問はもう相変わらずのように俺の心を侵食する。 本来なら高校に行きたいのだけれども、高校に行きたくない自分がいる。 これは決して高校に行けない自分がいるのではなくて、高校に行きたくない自分がいるというだけの問題だ。 それを解決するにはつまり高校に行ってしまいさえすれば簡単なことなのだが、どうも俺にはそれができないようだ。 ああめんどくさいいきたいくないずっと家に閉じこもっていたい。 高校で楽しそうに話している自分を想像しながら、今家でつまらなさそうに葡萄の木を眺めている自分に焦点を当てる。 俺は遅刻が大嫌いで、遅刻をしたらあとは全部休むことに、昔からしている。 どうして遅刻が嫌いになったのか、そんな理由は置いておいて。 いや置いておく必要はないか。 これはこれから先、俺が関わるであろう物語と深く深く深く関係しているのだから。
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