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そして、
「「「あ」」」
三人見事にハモッた声も聞こえた。
俺にとってかなり面倒な女三人組が集合してしまったのだ。
「やだ、何で椿も彩芽も来てんの?」
「近くまで来たから喉乾いたついでに錦のとこに寄ろうかなって思ってたら、彩芽に会ってー。そしたら彩芽も錦のとこに行くっていうから、じゃあ一緒にって」
「まさか麗香さんも来てるとは思わなかったけど。玄関のアレもついに錦に女がって思ったのに」
そんな会話をする、この三人。
実は俺の姉達だ……
「ま、いいや。錦、食事のあとはマッサージしてねー」
まず、事務所に押しかけてきた、長女、桜庭麗香。職業はフリーアナウンサー。
「錦ー、コートかけといて」
インターフォンで会話した、次女、桜庭椿。一応、世界を舞台に活躍するヴァイオリニスト。
「ねー、錦、シャンパン飲みたいんだけど」
三女、桜庭彩芽。歯科医。
おい、例え弟の家と言えども、何だその態度は?
その年齢になって我儘放題とか減点要素だぞ?
大体、俺だってもう二十八歳。
何時までもパシリでいられるかよ……!!
と、
心では思うが、言えない。
「くっ……」
俺は今回も、姉達に言われるがまま働く弟でいるだろう。
「ねー、ステーキ大丈夫ー?」
「え、今日ステーキなの??ラッキー」
「でも絶対に量足りないから、寿司か鰻の出前でも頼むかぁ。錦、注文よろしくー」
くそっ!
何が寿司だ、鰻だ。
ステーキの焼き加減を見ながら、
「あ、もしもし。特上寿司三人前と、かっぱ巻き一人前を―…はい、そうです。桜庭です」
早速、注文の電話を入れている。
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