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結局三人の姉達は日付過ぎまで俺の部屋で俺をこき使いまくり状態で、
そんな俺は明日も仕事だというのに、俺は姉達に忠実に仕えていた。
そこにはクールに業務をこなす、エリート弁護士桜庭の姿なぞ、微塵も見られない。
もし、こんな姿を女性スタッフ達に知られでもしたら、一瞬で俺の株は下がってしまうだろう。
女性と上手く接することが出来ない俺が唯一、外見と雰囲気で得している部分が台無しだ。
というか、そもそも、俺がこんなにも女性や恋愛に奥手になってしまうのは、
絶対に、あの強烈な三人の姉のせいだとしか思えない。
あの姉達に良いように扱われ、ちょっかい出され、いじられているから、俺は上手く女性と付き合えないのだろう。
そうとしか思えない。
そして、あの三人の姉と一緒にいた翌日だからこそ、
「桜庭先生、頼まれていた登記簿をお持ちしました」
「ああ―…ありがとう」
「あら?桜庭先生、目が充血してる……温かいおしぼりと目薬お持ちしましょうか?」
「いや、ちょっと寝不足なだけだから大丈夫です」
「でも、温めたら少しは良いかもしれません。おしぼりだけでもお持ちしますね」
こんな姉疲れした俺を気にかけてくれる、秘書の峯岸さんに癒される。
しかも、峯岸さんの名前は〝ふわり”。
なんて、心が和む名前なんだろう。
峯岸ふわりさん、君こそが僕の心の温かいおしぼりというやつです……
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