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それにしても―…
何時までも給湯室の前に立っているわけにもいかない。
コホン、と自分を落ち着かせるために一つ咳ばらいをし、コンコンと給湯室のドアをノックする。
「はーい、どうぞ。って―…あっ……!」
「すみません……さっき出して頂いたコーヒーカップを下げに―…」
「そんな、そのままで良いですよ!私達が下げますのに、申し訳ございません……!」
「いえ、コーヒー美味しかったです。では」
「こちらこそ、わざわざありがとうございますっ」
俺の顔を見て驚いた声をあげた彼女にティーカップを渡し、給湯室をあとにした。
ドアを閉めたものの、
「きゃーっ!噂をすればー!!」
「しかも、ティーカップ下げてくれるとか~!優しすぎる~っ!でもクール~っ!!」
「絶対に無理だけど食事に誘いたいー!」
「絶対の絶対に無理だけどオシャレなバーで二人きりで飲みたいー!」
そんな内容のはしゃぎ声が今度は背中に向かって届いてしまう。
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