1、弁護士桜庭センセイの秘めごと

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それにしても―… 何時までも給湯室の前に立っているわけにもいかない。 コホン、と自分を落ち着かせるために一つ咳ばらいをし、コンコンと給湯室のドアをノックする。 「はーい、どうぞ。って―…あっ……!」 「すみません……さっき出して頂いたコーヒーカップを下げに―…」 「そんな、そのままで良いですよ!私達が下げますのに、申し訳ございません……!」 「いえ、コーヒー美味しかったです。では」 「こちらこそ、わざわざありがとうございますっ」 俺の顔を見て驚いた声をあげた彼女にティーカップを渡し、給湯室をあとにした。 ドアを閉めたものの、 「きゃーっ!噂をすればー!!」 「しかも、ティーカップ下げてくれるとか~!優しすぎる~っ!でもクール~っ!!」 「絶対に無理だけど食事に誘いたいー!」 「絶対の絶対に無理だけどオシャレなバーで二人きりで飲みたいー!」 そんな内容のはしゃぎ声が今度は背中に向かって届いてしまう。
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