猫との未来

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 メールにはこう書いてあった。 「自分からメールが来て驚いたと思うが、実際、書いているのは13年後のあなた自身なのだ。これを信じてもらうためには、13年間に起こったことを書き連ねるのがよいのだろうが、それでは自分の人生がつまらなくなると思ってやめた。  とにかく、これだけは知っておいて欲しいと思うことだけを書いておく。  このメールが届いてから8年後、人は猫の言葉を理解できるようになる。10数年前にも犬猫の言葉を翻訳できるという機械が流行ったが、あんな単純な翻訳ではない。『このキャットフードはおいしくない』だの『腕枕をして欲しい』だの、こと細かに猫の言葉がわかるようになるのだ。  そんな技術がたった8年でできるわけがないと思うかもしれないが、猫の言葉の研究はずいぶん昔から行われていたようだ。  それだけなら苦労して過去へのメールなど送らないが、さらに驚くべきことに、13年後には猫に人の言葉を理解させ、話させることができるようになっているのだ。つまり、このメールを書いている時には、人と猫とが会話できているということだ。」
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