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「あれだけ自分勝手でわがままな猫がかわいいと思うのも、お互いに意思疎通がほとんどできず、赤ちゃんのようだからかわいいのだ。
想像してみて欲しい。『おいで』と言っても来ない猫がこちらをにらんで『うるさい、眠いんだ』と言う様子を。まるで倦怠期の夫婦のようではないか。
しかも、話せるようになる前のことをしっかり覚えているのだ。『週末になると、いつも私を寒い部屋に置いて女のところに行っていたよな』とか、『お金がないといって、私の餌を減らしていただろう』とか言ってくるのだ。
だから、13年前の私に忠告するためにメールしている。今の時代には、タイムスリップこそできないが、過去にメールを送ることができるようになっているのだ。
私よ。飼いはじめたばかりの朔太郎を、これから大事にしなさい。寒い夜に置いて出かけたり、餌の量を減らしたりしてはいけない。トイレ掃除もこまめにしてあげるのだ。
朔太郎は、猫と会話ができるこの時代まで生きている。ひどい飼い方をしていると、あとで何を言われるか、どんなに冷たい目で見られるかわからない。
どうか、どうか朔太郎を大事にしてほしい。」
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