練乳小豆団子

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でも小さい子犬を危険な所に連れて行くのは可哀想だし、譲り受けた悪魔からも殺されそうだが、現場では自分達の事で精一杯なので守る自信もない。 「なるべく私の懐に入れておくよ、壁は分厚いし」 返事はしたものの、普通の犬みたいに母と留守番をしてくれるような飼い方をしたい。 「神社で絵を見た時この仕事続けて行きたいと思ってさ、可哀想な私達にお爺ちゃん達が能力使いなさいって言ってる気がして」 妹が神社でそんな事を思ったとは知らなかったが、私はぶっちゃけ嫌な予感しかしてない。 「だから明日トレーニング行ってみない?延長試合もあるし練習したいんだよね」 上手い事言っているが、妹は羽根つきに勝ちたいだけなのではと言葉尻からそう思えてならない。 苦労して子犬を帰した下りは全部削除されていないかと疑問も残り、母がお風呂から上がり話は打ち切ったが、妹がやる気を見せている以上頑張るしかない。 人間関係も変わった人は多いが、今までの職場と違い周りに人見知りも多いので、その点で神経を使う事は少ない。 「姉さんもシャワーしてくれば?」 年明け早々からハプニングはあったけど、新しい家族も増え、恐らくこれから違う自分も多々発見していくと思う。 隣に妹が居れば挑戦していける心強さもあると考えつつ、シャワーを済ませると、皆で横になり正月番組を見てからベッドに入る。 今年はバイト以外の仕事をしているという少しの希望と、大吉のおみくじと犬のお守りもあり、幸先のいい始まりとなった気がした。 目が覚めてもそれらは消えておらず夢ではないと実感し、因みに通帳も確認して更にリアリティも高めておいた。 リビングでコーヒーを飲みながら、妹は母に少し仕事をしてくると上手く話を進めていた。 支度をして工場に向かうと、受付には八雲さんが立っておりニッコリとお出迎えされた。 私達はトレーニングのパネル操作の説明を受けていないので、今更だが何も出来ない。
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