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「例えば子蛇を私達が担当して、リーダーにボスを倒してもらうとかどうですか?」
「その子蛇が厄介だからな、俺の刀で全部捌ききるとなると、ボスを倒してもらう事になる」
「やっぱ無理なんじゃないの?」
ポッチャリが否定的な言い方でやっと口が開いたが、私も賛成で田村さんレベルがヘルプに来たら済む話だと思う。
「悟もさ、鎖とか色んな飛び道具出ればいいのにね」
「簡単に言うんじゃねーよ!金刺繍でないとそんなもん出せるか、俺はその分スピードで勝負してんだろう、お前がなんか出せよ!」
大きな声で思わずビクッとしてしまうのは、女性だけで生活しているせいなのか、男性の怒鳴り声を聞いたのも久々かもしれない。
私達の表情を見るとバツが悪そうに謝られたが、さっきまで蛇の毒にヤラれイライラしてるみたいだとサラッと言われ動きが固まる。
『既に噛まれてんの……?』
安心させようとしてかけてくれた言葉は、こちらの不安を煽っただけだ。
「解毒薬飲ませたから心配しなくていい、でもアンタ達も可哀想だな、蛙の次のハードルが高すぎだし悟と洋でもキツい執行なのに」
蛇は強そうだしさっきのトレーニングの作戦は使えないので、自分全体を守りつつ、攻撃も手数が出ないと間に合わない。
もし妹が柏餅を出してくれたら、数十匹は消せそうな気もするが上手くいくかは分からない。
「だから少し練習しようと思ってさ。まだ決行までに数日あるし、アンタらのレベルが分かれば作戦も立てやすいから、都合のいい日に三人で集まりたい」
「いいですけど……」
ポッチャリさんは立ち上がると頑張ってと言わんばかりに、部屋から出て行ってしまった。
私達も帰れるが何となくリーダーが動かないので出にくいし、もしかして残ってトレーニングするつもりかもしれない。
顔に似合わず真面目で責任感もありそうだと妹を見ると、顔に帰りたいと書いてある。
「じゃあ三日後の夜九時に待ち合わせで、俺はこれ食って少しトレーニングする」
彼の手には、ジャムパンと缶コーヒーが握られていた。
「因みに、子蛇ってどの位の量いるんですか?」
何となくそう聞いてしまうと、パンを頬張りながら、自分のバリアにびっしりと張りついてきて分からないと答えられた。
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