蛇蒸しパン

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「次は二日に分けて巣を破壊しながら、中にいる奴も始末していく」 巣がデカいのと場所が微妙に離れているのが理由みたいで、バラで動ける余裕もないし、四人で動いて毒にヤラれたら即座に救護が必要になるようだ。 またアイツも来るのかとポッチャリの姿が頭に浮かんだ。 「三日後に打ち合わせをして四日後に仕事だ、泊まりだからその辺親に伝えて……」 言いかけてリーダ―が止まったので、不思議に思い視線と追うと、入り口のドアのガラスの部分から社長がこちらを見ている。 また社長だと顔を歪めると、呼ばれてもないのに何処から湧いて出て来るのか不思議に思っていた。 「本当にいつも真面目ですね、予習ですか?」 朝桐君に任せて正解でしたと笑みを見せ、妹さんはお疲れのようなので、これを掛けてあげて下さいと毛布を渡された。 「あなた方は、少し遊んで帰りますか?」 毛布を妹に掛けると私達はビクビクしながら、あの広いトレーニングルームに向かった。 サッサと帰らないからこんな羽目になるし、パンのおかげで疲れは残っていないが足取りは重い。 部屋に入っても社長は居ないので、上から監視してトレーニングするつもりだろうが、リーダーは置かれた双棒をこちらに一つ投げた。 「今回は何をして遊びますか?」 マイク越しに声が聞こえたがリクエストなんてある訳もなく、敵の想像もつかないので、しいていえば空の飛び方を教えて下さい位だ。 「敵が蜂なんで飛んだりされると、攻撃どうしようか悩んでます」 「そこは双棒も伸びるし貴方は問題ないでしょう?そこに置いてある靴を履くと便利ですよ」 双棒の横に置かれているブーツに注目すると、壁や木も難なく登れ、ちょっとしたジャンプも出来る優れものらしい。 「それより敵がどんな大きさで、どのような攻撃してくるか興味が湧きませんか?」 いつ不意打ちをしてくるか分からないので、社長がまだ話をしている間に、私はこっそりブーツを履いておいた。 真面目なリーダーは上を向き話をしっかり聞いていたが、こちらは全く社長を信用してないので、既に周囲に気を張り双棒に手に握っている。 予想通りいきなり黒い影が浮かび、リーダーはまだブーツも履いていない状態だった。 手の平サイズを想像していたのに、私と身長が変らない程デカく、羽を広げるともっと大きく見えた。
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