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はぁ、なんか緊張する。
満席の機内で、私は小さく深呼吸を繰り返す。
その私の横から、彼の手がそっと伸びてきて私の手を温かく包んだ。
「そんなに緊張するような人たちじゃないよ。
父親は俺と同じく研究者だし、その父に惚れた母親だから、
二人共ちょっと変わり者でさ。
堅苦しさとは無縁だし、むしろそういう風変わりなところを楽しめれば
ザックバランに付き合えると思うよ」
12月30日。
この日の残りをわずか一時間半として、私たちは夜の大空に飛び立った。
そして向かう先のホノルルで、再び12月30日の午前を迎える。
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